島谷 好徳

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HOMESTAY

職人への気づき

元々、僧侶がお経をあげる際に鳴らす「おりん」をはじめ、仏具作りの家の四代目として生まれた島谷好徳さん。当然のように家業を継ぐことを求める周囲の圧力を嫌い、自分の好きな道を求めて東京の大学では国際政治や世界史を専攻、その後は調理師免許を取得し食の道を進むつもりだった。

 

そんなある日、朝方まで飲んだ帰り、ひょんなことから駅で清掃をしていた女性と会話をした。その女性の人柄なのか、朝方で余計なことを考えられなかったのか、なぜだか自然と自分の生い立ちに関する素直な気持ちを口にしていた。「実家の仏具を作る仕事はかっこいいとは思えない」、「親父は毎晩腕が痛いと言い、何気に重労働だ」。ただそれを聞いた女性の反応は、島谷さんの予期したものではなかった。日本に数軒しか残っていない仏具造りの家に生まれた境遇や、日本の伝統を継承する仕事の素晴らしさを指摘された。万人にあるチャンスではないのだから、もう一度考えてみてはと。島谷さんが他人の意見を聞くのはこれが初めてのことで、ちょっとした衝撃を受けた。料理を通してものづくりに強い思いを持つ自分に気付いていたこともあり、実家に戻ったのはそれからすぐのことだった。

伝産の存在と“すずがみ”の誕生

高岡伝統産業青年会(伝産)は、高岡の伝統工芸の血をひく次世代の職人たちの集まりである。400年前からこの地で始まった鋳物や漆器の技術を継承しながら、新しい在り方を提唱し続けている。課題の共有や新製品のアイディア出しなど、職人同士が定期的に集まって議論できる関係が何よりの強みである。こういった姿は、ライバル同士で睨み合っていた一昔前では考えられなかった光景である。仏具等、従来の主力製品の販売不振が工房の減少に拍車をかけ、自ずとライバルという関係を仲間へと変えていったのである。

錫100%でできた皿、“すずがみ”もそんな伝産の仲間と共に将来をかけて生み出した新しい商品の一つである。スープからデザートまで用途に合わせて形状を自在に変形できるのが、この商品の特徴である。何度でも曲げられる特性を持つ錫に、島谷さんの強みでもあるたたくという技術の組合せからアイディアは始まった。柔軟性と皿としての機能性を絶妙なバランスで実現させるため、工程や厚みに微調整を加え続け、開発に二年をかけ完成に至った。

技術へのこだわり

今や国内で10人にも満たない「おりん」を作る職人、そのうちの3人がここ、シマタニ昇龍工房に在籍している。「おりん」作りで最も重要になるのが調音である。「おりん」から出る音は「甲(カン)、乙(オツ)、聞(モン)」の種類の異なる三つの音から構成される。甲は最初の打撃音であり、金属の厚みと締め具合で決まる。これに対し乙と聞は、それぞれ短波長、長波長の音であり、外側と内側からトンカチでたたき調音していくことでリズムを整える。これはまるでルービックキューブのような作業で、常に両方からたたきながら作る必要がある。どこをたたけばどうなる、という決まった法則はないので、経験と音を聞き分ける耳が高いレベルで要求される。東京から実家に戻って17年、祖父に師事して体得した、島谷さんの真骨頂である。

島谷さんは初対面でもオープンな人で、いい意味で職人の固さがないフレンドリーな方である。工房で実際の道具に触れながら深い技術の話をするのも、一緒にお酒を飲むのも、どちらもお薦めである。

  • プロフィール
仕事
鍛造職人
ホームステイの受入れ
受け入れ不可
性別
男性
生年月日
1971年9月21日
話せる言語
日本語
趣味
キャンプ / 日本酒とビール / ラーメン
行ったことのある国
フランス
場所
富山県高岡市千石町4-2


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