道具志朗

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次世代へ会社を受け継ぐ秘策はサブカルチャー×伝統工芸?!

サブカルチャー×伝統工芸という新しいジャンルを開拓した企業がある。100年以上続く歴史ある鋳物製造の企業、株式会社道具である。使う砂の種類や混合物の異なる、生型鋳造と自硬性鋳造という2つの鋳造法を使い分けることで、細かいデザインから少量生産まで、クライアントにとって最適な鋳造の提案を可能にする強みを持つ。この企業の5代目、現社長が道具志朗さんである。伝統にあぐらをかかず挑戦し続ける道具さんの原点はどこにあるのだろう。

精巧な職人技術をぜいたくに使い倒そう

高岡にある伝統産業青年会、40歳未満の伝統産業に関わる若手の集まりである。挑戦の発端は、この青年会のアニメ好きたちが集まって、本業とは別にプロジェクトを始めたことにある。評価や売上げを目的にしていたのではなく、ただ自分たちの意思で自分たちの好きなものを作ってみたかったのだ。決め言葉は、「手に入れた技術をぜいたくに使い倒そう」。その熱意の下に高岡銅器、高岡漆器の職人技を結集、完成したのがアニメシリーズから生まれた五月人形の兜である。鋳肌の残った荒々しさと鏡面まで磨き上げられた繊細な表面のコントラストは、同じ金属とは思えない多様な表情が感じられる。また伝統的な鉄漿や炭を使った着色に高岡の特徴的な螺鈿技法である青貝塗りも交え、豪華な見た目を演出する。

メンバーは、版権元との契約を結び、プラモデルが多数を占める一日イベントに、この本気の金属加工品を出品した。するとその精巧度が見るものを圧倒し、予想を超えてニュースサイト等からインターネットで広まった。その結果、最終的にはテレビなどでも取り上げられるほどの話題に。ふだんは下請けという性質上注目されにくい小さな会社の職人技にも注目が集まった。仲間の会社では、メディアの取材が入ることで、従業員の志気が上がったという。

コンピューターに没頭する時代から一転、鋳物の世界へ

そもそも道具さんは、小さい頃からアニメとゲームが大好きだった。ファミコンが発売されたら、朝から晩まで怒られながらもゲームをやるような少年時代。興味はコンピューターに広がり、電子情報工学で大学院まで進んだ。対して関東の鋳物会社に就職した長男は、誰が見ても跡継ぎのキャリアを踏んでいた。しかしある正月、大騒動は突如起こった。なんと長男が、家業を継がないと言い出したのだ。これにより、正月にも関わらず家はお通夜のような雰囲気。

 

道具さんは「4代続いた会社を親父の代で終わらせるのは忍びない」と思った。なんとか自分の代までは続けたいという思いを胸に、鋳物の世界に飛び込んだ。24歳、職人としては遅めのスタートだ。何から何まで新しいことばかりで、業界のこと、鋳物のことはわからない。後継ぎになるため会社に入ったものの、当然自分が最年少、不安は募るばかりだった。

伝統産業青年会との出会い、経営者としての成長、そしてこれから。

転機となったのが、伝統産業青年会との出会いだった。一度職人とは違う道で修業を積んでから戻ってきたメンバーが予想以上に多く、職人としてのスタートが遅いという道具さんの劣等感や焦りは払拭された。周囲の状況も徐々に理解できてきた30歳のとき、道具さんにとって一つの忘れられない出来事があったという。

 

伝統産業青年会では、高岡の産業全体のことや今後実施していく企画について、定期的に委員会を開き話し合っている。しかし本業が忙しいときや打合せ内容が自分に直接関係のないときなど、出席者が少なくなることも多々あった。そんなある日、青年会の先輩が、一部のメンバーが委員会を欠席する影響の大きさについて語った。出席したメンバーには欠席したメンバーの穴埋めや新しいタスクの割り当てなど、大きな負担がかかる。そうした負担は少なからず本業にも影響し、結果、仕事関係者やクライアント、エンドユーザーとドミノ倒し的に迷惑をかけることになり得るのだ。

 

当初、自分だけの問題と考えていた道具さんにとって、責任という言葉の重さを深く認識するだけでなく、全体を見通すことの重要性を学んだ一件となった。これを経て、自社が従業員等に果たす責任についても深く考えるようになったという。自分の代まで持たせればいいと思っていた会社への想いも、今ではより大きくして次世代へつなげられたらという考えにまで至った。新しいことへの挑戦もこういった意識の変化が大きく影響しているようだ。

 

当初、兜の販売を請け負うまでには葛藤があったという。そもそも銅器業界では前例のない挑戦で、伝統技術をアニメグッズに注ぎ込むことに対して、周囲からの反応が読めなかったからだ。ただ始めてみると、この新しい取り組みは好意的に捉えられ、応援も受けている。加えて成果も上々である。そんな追い風の中、道具さん達は新たにサブカルチャー×伝統産業の製品を企画しているという。「今年中には発表できるので、楽しみにしておいてください」。そう語る道具さんの眼差しには、決意の中にもワクワクした楽しそうな光が見えた。

 

  • プロフィール
ホームステイの受入れ
受け入れ不可
性別
男性
話せる言語
日本語
メッセージ
 

President of the company that has pioneered a completely new artistic genre by combining traditional handicrafts with a unique subsect of anime culture

場所
富山県高岡市長慶寺1000


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